○ 猛虎奮迅(マレー作戦)

 1941年12月8日午前1時30分(日本時間)イギリスの植民地マレー半島東岸コタバルに日本陸軍が上陸して、太平洋戦争の幕は切って落とされた。

 マレー半島は、数列の山脈が南北に走りその間を縫うようにして幾つもの川が流れてその下流部に三角州平野を形成していた。
 年中高温で夏はモンスーンの影響により雨が多く冬は乾季となる。欧米人によるプランテーションにより米や天然ゴムの世界的な産地であった。鉱物資源も豊富で鉄鉱石・ボーキサイトの鉱山が多数あった。
 西海岸地方は早くからの農場や鉱山の開発により開けていて、シンゴラからシンガポールまでを鉄道が結んでいた。
 守備側のイギリス軍は主要拠点に防御陣地を築き激しく抵抗していた。
 このマレー侵攻作戦を委されていたのは、陸軍山下奉文中将であった。猛将として知られる山下将軍は、旗下の部隊に対して進撃を命じた。

 極東のハリマオがマレー半島という上等な肉を平らげようと牙を研いでいる。