○ アメリカ攻略戦

 破竹の勢いで連勝を重ねた日本は、1943年6月に開始された第2次ミッドウェー作戦でも勝利し、念願のハワイ攻略を10月には達成した。

 連戦連敗中のアメリカ海軍は、ハワイ防衛を早々と諦め、本国での艦隊の再編成と補給線が延びきっている日本軍に対して、兵站線の破壊に方針を切替えた。アメリカ陸軍でも、ソロモンでの反攻作戦に失敗し、重要拠点ポートモレスビーを失陥するに至り、ついにオーストラリアやサモアなどから兵力を撤退させた。
 マッカーサー大将は、責任を取らされ司令官職を辞任し予備役に回された。

 日本でも連合艦隊の山本長官は、戦争の早期終結を主張して軍令部と対立し、元帥に叙勲されるも、長官職を後任の古賀大将に譲り、実権は主戦派が握った。
 陸軍でも東條首相からにらまれていた、山下大将を満州に左遷するなど、主戦派で周りを固め、国民の熱烈な支持の下、アメリカ攻略という日本の国力に見合わない無謀な作戦が、議会を通過するに至り、いよいよ混迷の度合いを深めていった。
 
 眠れる大巨人の逆鱗に触れるとも知らずに。