1945年3月、「レイテ沖海戦」以降出撃することもなく、
呉に係留されていた戦艦『大和』は、
菊水一号作戦に呼応して、沖縄防衛のため出撃せよとの命令が
連合艦隊司令部より下った。
これは、本土決戦を主張していた陸軍に対し、
航空決戦を主張した海軍の「天一号作戦」の一環であった。
作戦の内容は、まず大和以下数隻の艦船のみで
沖縄本島に突入を行い、固定砲台として
米艦隊と上陸部隊に砲撃を行う。
そして弾薬が尽きた後は、陸戦経験がない乗員を陸戦隊として
上陸させて戦うという、成功率の低い特攻作戦であった。
また、作戦の成否に関係なく、日本海軍は
戦闘可能な艦の殆どを失うため、事実上連合艦隊の
消滅を意味するという、最悪極まりないものでもあった。