1937年の盧溝橋事件に端を発した日華事変は、
そのとどまるところを知らず中国全土に戦火を広げた。
日本が中国に対して求めたものは食糧の供給源であると共に、
日本製品の市場としての立場であった。
しかし中国政府はこれを拒み、戦争は政府間のものから
民衆を巻き込んだ総力戦へと激化していったのである。
この日本の軍事行動は北のソ連、東のアメリカ、
西のイギリス、南のオランダにとって
重大な脅威となったことは言うまでもない。
そしてこの中で、最も鋭敏に対応したのは、
当時フィリピンを植民地とし、中国市場への経済的進出を
虎視耽耽と狙っていたアメリカであった。
日本軍は緒戦において勝利を重ねたが
広大な中国大陸を舞台とした戦いは、
次第に泥沼の様相を呈し始めていた。